交番や警察署でお金を借りる公衆接遇弁償費を使うには？貸付条件と利用できる都道府県

外出中に財布の紛失や盗難などで自宅へ帰れなくなった人は、公衆接遇弁償費によって交番や警察署でお金を借りることができます。

公衆接遇弁償費の対象となるのは、以下の事由で経費が必要になった場合です。

参考元：公衆接遇弁償費事務取扱要綱の制定について-警視庁

ただし地域によっては公衆接遇弁償費を実施していない都道府県があり、どこの交番や警察署でもお金を借りられるわけではありません。

この記事では、公衆接遇弁償費の貸付条件や利用できる都道府県をわかりやすく解説していきます。

今まさに財布の紛失などで帰宅できない人や、緊急時に備えたい人の一助になれば幸いです。

交番や警察署でお金を借りる公衆接遇弁償費は交通費がない人の手段

公衆接遇弁償費とは、外出先で交番や警察署からお金を借りられる制度のことです。

警察は予想される犯罪を未然に防ぐ責務があるため、財布の紛失や窃盗などで自宅へ帰れない人に対し、交通費としてお金を貸し付けているケースがあります。

個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、公共の安全と秩序の維持に当たるという警察の責務を遂行する

引用元：警察活動のささえ-警察庁

財布の紛失などで深夜になっても帰宅できず、宿泊施設も利用できない場合は犯罪に巻き込まれる可能性があることから、警察に相談すると帰りの交通費を借りられます。

実際に管理人も公衆接遇弁償費を利用した経験があり、財布を無くした際に最寄りの警察署から電車賃を貸してもらえて、当日中になんとか帰宅できました。

公衆接遇弁償費は県警の経費から捻出されており、以下のように管轄署長や地域課長といった上司へ報告するものの、貸し付けの判断は現場の警察官に委ねられています。

そのため、緊急でお金を借りる必要がある場合は、素早く柔軟に公衆接遇弁償費の対応をしてもらえます。

利用者へ貸し付けたあとは、それぞれの警察署に備え付けられた公衆接遇弁償費交付簿によって現金の出納状況が管理されている仕組みです。

公衆接遇弁償費を利用すれば、1人あたり1,000円まで警察から借りられます。

借り入れできる限度額は基本的に1人あたり1,000円まで

公衆接遇弁償費で借り入れできる金額の上限は、基本的に1人あたり1,000円までになります。

公衆接遇費の支給額は、1件につき1,000円を限度とすること。ただし、真にやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

引用元：地域警察官等公衆接遇費の取扱いについて-群馬県ホームページ

そのため自宅が遠い人は、交番で警察からお金を借りても帰りの電車賃やタクシー代などの交通費が足りず、途中から歩いて帰宅せざるを得ないケースがあります。

それぞれの警察署は予算に限りがあり、公衆接遇弁償費の限度額を引き上げてしまうと、経費が枯渇する可能性があるからです。

実際に当サイトで公衆接遇弁償費を利用したことがある人を対象にアンケートを実施して借り入れできた金額を調査したところ、88%が1,000円未満でした。

公衆接遇弁償費としてお金を貸しても、すべての利用者が返済するとは限らないことから、借り入れできる金額が制限されています。

以下でJRの運賃を運行距離ごとに記載していますので、自宅までの電車賃を調べる際の参考にしてください。

運行距離	片道料金
1〜10キロメートル	150〜200円
11〜20キロメートル	240〜330円
21〜30キロメートル	420〜510円
31〜40キロメートル	590〜680円
41〜50キロメートル	770〜860円
51〜60キ​​ロメートル	990円
61〜70キロメートル	1,170円
71〜80キロメートル	1,340円
81〜90キロメートル	1,520円
91〜100キロメートル	1,690円

参照元：幹線または地方交通線のみをご利用の場合-JRおでかけネット

東京駅から1,000円の運賃で行ける地域は、埼玉県や神奈川県および千葉県はもちろん、茨城県の南部も含まれます。

地方から都内へ遊びに来て財布を落とした場合でも、公衆接遇弁償費によって警察からお金を借りれば帰宅することが可能です。

どうしても交通費が足りなくて困っているのなら、警察官に相談すれば現場の状況によっては所属長の承認を取り次いでもらえ、1,000円を超える借り入れができる場合もあります。

事前に所属長の承認を得た場合における出費に対する報償金は、限度額を超えることができるものとする。

引用元：公衆接遇報償金取扱要領の制定について-岩手県警察

小さな子供が一緒だったり障害を抱えていたりで満額の交通費が必要な場合は、柔軟に対応してもらえます。

ただし、やむを得ない事情がない場合は1,000円以上の借り入れを断られてしまうため、交通費が足りなくて困った場合は24時間いつでも借り入れできる金融商品を検討するのが最適です。

例えばお金を借りるアプリなら、スマホと身分証明書があれば24時間365日いつでも最短30分以内にお金を借りられます。

公衆接遇弁償費と違って利息が発生するので、警察からお金を借りられなかった場合や借りた金額が足りないときの最終手段として覚えておきましょう。

年々お金を借りづらくなっている？将来的に廃止される可能性も高い

残念ながら、公衆接遇弁償費は年々お金を借りづらくなっていることが難点です。

公衆接遇弁償費による借り入れが難しくなっている理由のひとつに、返済率の低さが考えられます。

実際に当サイトでアンケートを実施して公衆接遇弁償費の返済率を調査したところ、お金を返している人は7割未満でした。

京都府の公式ホームページでも、公衆接遇弁償費の利用者から返済が実施されず、回収できなくなった旨を公表しています。

警察職員が、公衆接遇のため一時立て替えた自己の所持金のうち、返済されず回収不能となった

引用元：公衆接遇費の取扱いについて-京都府ホームページ

他にも鳥取県が公表した警察本部の予算によると、公衆接遇弁償費の経費は年を追うごとに削減しているのが実情です。

年度	公衆接遇弁償費
平成26年	273万円
平成27年	153万円
平成28年	131万1,000円
平成29年	131万1,000円
平成30年	109万2,000円
平成31年	84万6,000円

参照元：予算編成過程の公開-鳥取県

そのため、将来的には公衆接遇弁償費が廃止される可能性がある点も否めません。

しかし、まだ公衆接遇弁償費が廃止されたわけではないため、財布の紛失等で自宅へ帰れなくて身の危険を感じるようであれば迷わず警察にお問い合わせしましょう。

正当な理由があれば、自宅へ帰るまでの交通費を快く貸してもらえます。

交番や警察署でお金を借りる条件！財布の紛失や盗難などの正当な理由が必要

交番や警察署でお金を借りる条件として最も重視されるのは、財布の紛失や盗難といった正当な理由があることです。

公衆接遇弁償費の対象となる資金使途は、主に自宅へ帰るまでの交通費や負傷者を保護するための救護費になります。

以下のようにいずれも正当な理由が求められ、自宅へ帰るまでの交通費であれば財布を落としたり盗まれたりなど、やむを得ない事態に限られます。

対象となる資金使途	正当な理由
自宅へ帰るまでの交通費	財布を紛失または盗まれた 家族や友達に頼れない 歩いて帰ることが難しい 土地勘がなく道に迷う可能性がある等
負傷者、迷子、行方不明者などを保護するための救護費	所持金を持っていない 所持金だけでは費用が賄えない等

上記の条件を満たせば、公衆接遇弁償費としてお金を貸してもらえる可能性が高いため、最寄りの警察署や交番へ相談しましょう。

一方で、以下のようなケースは公衆接遇弁償費でお金を借りられません。

公衆接遇弁償費の予算には限りがあり、自分の不注意で自宅へ帰れない場合は、警察官から他の手段を促されるからです。

公衆接遇弁償費は、資金使徒を明確にするとお金を貸してもらいやすい印象があります。

資金使途が交通費であると明確にわかる人は貸してもらいやすい

公衆接遇弁償費は、警察官に対して自宅へ帰るまでの交通費である旨を明確に伝えられる人ほど、お金を貸してもらいやすい状況になります。

警察官に交通費であることを明確に説明する方法は、以下のとおりです。

公衆接遇弁償費としてお金を借りる際は、警察官に運転免許証や保険証を提示して、自宅の住所を伝える方がよいでしょう。

警察官も相談者の住所がわかれば、現場から自宅までの距離を把握でき、遠方の場合は交通費としてお金を借りることに矛盾がないと思えるからです。

さらに警察官へ電車の切符を購入するところまで見届けてもらえれば、資金使途が交通費である旨を明確にできます。

警察官に相談する際は緊張してうまく話せない場合があるものの、落ち着いて説明すれば、親切に対応してもらえるケースがほとんどです。

一方で資金使途を明確に伝えられない人は、警察官から不正利用や詐欺を疑われ、公衆接遇弁償費の利用を断られます。

他にもお金を使いすぎてしまった場合は、公衆接遇弁償費でお金を借りられません。

お金を使いすぎてなくなった場合は貸してもらえない

買い物やギャンブルなどでお金を使いすぎてしまった場合は、公衆接遇弁償費で交通費を借りられません。

お金の使いすぎによる所持金の亡失は、公衆接遇弁償費を利用する正当な理由ではないからです。

ただし警察官は救護を必要とする人に対して保護する責務があり、朝まで野宿になるなどやむを得ない事情であれば、交番や派出所で保護してもらえる可能性があります。

応急の救護を原則と信ずるに足りる相当な理由のある者を発見したときは、取りあえず警察署、病院、救護施設等の適当な場所において、これを保護しなければならない。

引用元：警察官職務執行法-日本法令外国語訳データベースシステム

その他にもNPO法人が提供している無料の宿泊施設に駆け込めば、朝まで保護してもらえる場合があります。

公衆接遇弁償費は、正当な理由がないとお金を貸してもらえないため、お金の使いすぎで自宅へ帰れない事態にならないようにしましょう。

交通費だけではなく生活費も足りなくなるほどお金を使いすぎた場合は、金融機関が提供するカードローンのような個人向けの金融商品で一時的にお金を借りるのもひとつの手段です。

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家族や友人に迎えを頼めなくて帰れない人が対象

公衆接遇弁償費の対象になるのは、家族や友人に迎えを頼めず、自力で帰宅することが困難な人になります。

家族や友人に迎えを頼めない人は、公衆接遇弁償費でお金を借りなければ安全に帰宅できない可能性があるからです。

そのため引越しや転勤などで誰にも迎えを頼めない場合は、警察官に相談して公衆接遇弁償費を利用する方がよいでしょう。

他にもスマホや携帯電話を紛失して、家族や友人に迎えを頼めない人は、公衆電話の利用料として警察官からお金を貸してもらえる場合があります。

公衆電話の利用料は、公衆接遇弁償費としての正当な理由に該当するからです。

警察署や交番には固定電話があるものの、土地勘のない地域で財布やスマホを紛失した場合は、いつ公衆電話が必要になるかわかりません。

公衆電話の発信先がスマホや携帯電話であれば、地域に関わらず10円あたり15秒ほど通話できます。

公衆電話の発信先	10円あたりの通話時間
携帯電話	15.5秒
固定電話	8〜76秒

参照元：公衆電話料金-NTT東日本

警察官から公衆電話の利用料金として100円を貸してもらえれば2分ほど通話できるため、スマホを紛失しても家族や友人に迎えの連絡が可能です。

ただし自宅までの距離がそれほど遠くない場合は、家族や友人に迎えを依頼できそうでも、警察官からお金を貸してもらえない可能性があります。

徒歩2時間圏内に住んでいる人は帰宅を要請されるケースもある

公衆接遇弁償費として警察官からお金を借りたくても、徒歩2時間圏内に住んでいる人は歩いて帰ることを要請される場合があります。

厚生労働省では1日の目標歩数を8,300〜9,200歩としており、2時間ほどの歩行であれば身体への負担や悪影響の心配がないと判断されるからです。

1日平均歩数を男性9,200歩、女性8,300歩程度を目標とする。

引用元：身体活動・運動-厚生労働省

財布の紛失や盗難など正当な理由がある場合でも、自宅まで歩いて帰ることができそうな人は公衆接遇弁償費の対象外となります。

しかし、公衆接遇弁償費の貸し付けを決定するのは最終的に現場の警察官ですので、以下のような理由であれば徒歩2時間圏内でも交通費を貸してもらえる場合があります。

例えば時間帯が深夜のため、女性が1人で歩いて帰るには危険性が高いと現場の警察官が判断した場合は、公衆接遇弁償費でお金を借りられるでしょう。

他にも知らない土地で道に迷う可能性があったり小さな子供が一緒だったりなど、長時間の歩行が困難な場合にも、お金を借りられる可能性があります。

さらに公衆接遇弁償費は、18歳未満の未成年者でも正当な理由があれば貸してもらえます。

未成年は親権者に連絡されるケースがほとんど

未成年者が交番や警察署でお金を借りる場合は、警察から親へ連絡されるケースがほとんどになります。

公衆接遇弁償費は民法における金銭消費貸借契約に該当し、少額でも未成年者は親の同意がなければ締結できないからです。

未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。

引用元：民法-e-GOV法令検索

そのため未成年者が公衆接遇弁償費で警察からお金を借りる際は、警察官へ相談する前に自分から親へ連絡しておいた方がよいでしょう。

親は子供のことで警察から突然の連絡があると、過度に心配してしまいます。

未成年者が親へ連絡すれば迎えに来てもらえるケースがあるものの、共働きなどで送迎が難しい人は、公衆接遇弁償費で帰りの交通費を借りられる場合があります。

公衆接遇弁償費は帰りの交通費だけではなく、行方不明者や病人の救護に必要な費用としても借り入れが可能です。

行方不明者や病人の救護をするために借入する人も貸付対象になる

公衆接遇弁償費は、行方不明者や病人を救護するためにお金が必要なケースでも貸付対象になります。

警察官には行方不明者や病人を保護する責務があり、住民へ公衆接遇弁償費でお金を貸与すれば救護の手助けとなるからです。

所持金を持ち合わせていない時に行方不明者と遭遇した場合でも、警察官からお金を借りれば、以下のような救護に必要な物資を購入できます。

日本では行方不明者数が増えており、警視庁の調査によると令和元年度は1年間で8万6,000人以上になった旨が公表されています。

統計年度	行方不明者数の推移
平成24年	81,111人
平成25年	83,948人
平成26年	81,193人
平成27年	82,035人
平成28年	84,850人
平成29年	84,850人
平成30年	87,962人
令和元年	86,933人

参照元：行方不明者の推移-警視庁

そのため公衆接遇弁償費は、行方不明者や病人の救護に必要な資金とわかれば、迅速にお金を貸してもらうことが可能です。

街中で帰宅できない人に遭遇したら、できるだけ声をかけてすぐに警察へ通報しましょう。

一方で交通費として公衆接遇弁償費を借りる場合は、警察官に対してお金を返す意志を伝えることが大切です。

借りたお金を返す意思が強い人ほど貸してもらえる可能性が高くなる

公衆接遇弁償費は、お金を返す意志が強い人ほど貸してもらえる可能性が高くなります。

上述で触れたように公衆接遇弁償費の返済率は7割と低く、警察官としてもお金を返す意思がない人には貸し付けできないからです。

警察署ごとに予算が限られているため、未返済の公衆接遇弁償費が増えると制度が破綻しかねませません。

公衆接遇弁償費を利用する際は、警察官に対してお金を返す意志があることが伝わるようにしましょう。

警察官へ返済する意志を伝える方法は、以下のとおりです。

公衆接遇弁償費を利用する際は、返済日を明確に伝えたほうが現場の警察官にお金を返す意志がある人だと判断してもらえます。

警察としては貸し付け後に利用者と連絡が途絶える懸念があるため、勤務先や学校の連絡先を教えることも大切です。

他にも財布を落とした経緯など、警察官の質問は丁寧に対応すると心証がよくなり、より柔軟に対応してもらえる可能性があります。

ただし公衆接遇弁償費は地域によって実施していない都道府県があるため、事前に確認しておきましょう。

交番でお金を借りられる場所は？公衆接遇弁償費がある都道府県の一覧

公衆接遇弁償費の制度が設けられていて交番や警察署でお金を借りられる場所は、47都道府県のうち14箇所です。

以下で公衆接遇弁償費がある都道府県と借り入れ限度額を一覧にまとめましたので、警察からお金を借りる際の参考にしてください。

東京都や千葉県では基本的に1,000円を上限としているものの、自宅が遠方だったり時間帯が深夜だったりすると限度額よりも多い金額を貸してもらえる場合があります。

実際に管理人が公衆接遇弁償費を利用した時は、自宅が遠方だったので新宿駅の西口交番から1,500円を借りられました。

その他にも宮城県や京都府は借り入れ限度額を10,000円としており、自宅が遠方でも満額の交通費を賄えます。

一方で石川県や山口県など一部の地域では借り入れ限度額を提示しておらず、警察官の所持金から常識的な範囲内としています。

公衆接遇弁償費を実施している都道府県であれば、パトカーや運転免許試験場でも借り入れが可能です。

パトカーや運転免許試験場など警察が管轄する施設でも対応してもらえる

公衆接遇弁償費は交番だけではなく、パトカーや運転免許試験場など警察が管轄する以下の施設でも対応してもらえます。

対応施設	24時間の対応	設置場所
警察署	◯	各都道府県の主要都市
交番または駐在所	◯	各市区町村の主要地域
パトカー	◯	各警察署の管轄地域を巡回
鉄道警察隊	◯	都市部の主要駅
地域安全センター	△（施設によって異なる）	東京都と大阪府のみ
運転免許試験場	×	各都道府県に数カ所

上記の施設は、公衆接遇弁償費の手続きに必要な書類一式を常備しておくように規則で決まっているからです。

そのため近くに警察署や交番がない場合でも、巡回中のパトカーから公衆接遇弁償費でお金を借りられます。

駅の構内で財布を紛失して自宅へ帰れない場合は、最寄りの鉄道警察隊からお金を借りることも可能です。

いずれの施設においても、公衆接遇弁償費としてお金を借りる場合は、書面による申請手続きが必要となります。

交番や警察署でお金を借りる方法！申請から返済までの流れを紹介

公衆接遇弁償費は、財布の紛失や盗難など正当な理由があればお金を借りられるため、初めに最寄りの警察署や交番へ向かいましょう。

今回は自宅へ帰るまでの交通費を例にして、公衆接遇弁償費の借り入れから返済までの流れを紹介します。

以上のように、公衆接遇弁償費の借り入れから返済までの流れはそれほど難しくありません。

ただし、借受願書に記載した内容に虚偽があると公衆接遇弁償費の利用を断られるケースもありますので、正確に申請しましょう。

借受願書に記載する個人情報は正確に申請することが大切

借受願書には以下の項目があり、いずれも間違わないよう正確に記載することが大切になります。

住所や電話番号を間違えて記載すると、警察署からの連絡がある場合に対応できないからです。

借受願書は公衆接遇弁償費における契約書類に当たるため、事実と異なる情報を記載すると不正利用を疑われかねません。

職業の項目は会社員やアルバイトといった雇用形態だけでも問題ありませんが、警察官に具体的な仕事内容を質問された場合は、職種や業種まで記載しておいた印象がよいでしょう。

借り入れの理由は、以下のように文章として資金使途を明確に記載します。

すべての項目を記載すると、押印または指印を求められるため、指定の場所に正しく実施します。

公衆接遇弁償費によって帰宅したあとは、速やかに借りた警察署へ返済するのが一般的です。

お金の返し方は？返済書と一緒に借りた場所へ返しに行くのが一般的

公衆接遇弁償費で警察から借りたお金の返し方は、借り受けた警察署や交番へ自ら出向いて返済するのが一般的になります。

公衆接遇弁償費の出納状況が記録されているのは実際に貸し付けを実施した警務部の交付簿で、別の警察署や交番へ返済しても確認が取れないからです。

そのため自宅の近くに交番や派出所がある人でも、公衆接遇弁償費の返済先は実際に貸し付けを実施した警察署へ出向いた方がよいでしょう。

警察署や交番へ出向く際は、貸し付けの際に渡された返済書を持参してください。

地域によっては電車やタクシーの領収書を求める警察署もあるため、公共交通機関を利用したら捨てずに保管しておくのが最適です。

公共料金の領収書を残しておけば、公衆接遇弁償費の資金使途を明確にでき、不正利用も疑われません。

駅の窓口を利用すれば、在来線の切符でも領収書を発行してもらえます。

公衆接遇弁償費の返済先は貸し付けた警察署が一般的ですが、遠方の場合は自宅から近い交番でも対応してもらえる場合があります。

遠方で借りた人は自宅付近の交番で相談すると対応してもらえる

自宅から返済先の警察署まで2時間以上かかるなど遠方で借りた人は、例外的に最寄りの交番に相談すると対応してもらえる場合があります。

警察は警視庁や県警を本部とした組織体系になっており、管轄地域の交番であれば返済先が異なっても、時間をかければ出納状況の連携を取れるからです。

返済先である警察の施設が遠く、お金を返しに行くことが困難な場合は、最寄りの交番や派出所へ相談しましょう。

北海道警察の場合は、現金書留による返済も可能です。

交番等の地域警察官等が貸与した現金の返済は、これを取り扱った交番等に直接又は書留郵便等により返済するよう被応接者を指導しなければならない。

引用元：市民応接費取扱要領の制定について-北海道警察

しかし公衆接遇弁償費の返済先は実際にお金を借りて出納状況が残っている警察署にしたほうが、警務部による連携の手間がかからず、事務処理も迅速に実施してもらえます。

さらに対応した警察官に対して、感謝の気持ちやお礼の言葉を直に伝えられます。

お金を借りた警察署が遠いからといって公衆接遇弁償費の返済を放置すると、詐欺罪に問われる可能性があります。

返さないと詐欺罪で逮捕される可能性もあるので気を付けよう

警察が催促しているにも関わらず、公衆接遇弁償費で借りたお金を返さないでそのまま放置していると、詐欺罪で逮捕される可能性があります。

刑法における詐欺罪とは、人を欺いて財物などを受け取ることであり、公衆接遇弁償費を返さない利用者は初めからお金を騙し取る意図があると警察に判断されてしまうからです。

第246条 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

引用元：参照条文-法務省

過去の事例でも公衆接遇弁償費の未返済による逮捕者が出ており、最近では2022年8月に代々木公園交番から交通費として700円を騙し取った男性が検挙されています。

逮捕までに至るのは複数の警察署からお金を騙し取っているケースなものの、催促の連絡を無視していると詐欺罪に問われ兼ねません。

警察署から公衆接遇弁償費による催促の連絡が来たら、速やかに返済しましょう。

最後に警察からお金を貸してもらえない時の対処法を紹介していますので、公衆接遇弁償費の借り入れが難しい場合はぜひ参考にしてください。

警察がお金を貸してくれない時の解決方法！電子マネーの残高を確認しよう

交番や警察署でお金を借りられなかった時でも、スマホを所持していれば電子マネーのチャージ残高によって、帰りの交通費を捻出できる場合があります。

例えば電子マネーのチャージ残高を銀行口座へ入金すれば、最寄りのATMから出金できるため、公衆接遇弁償費を頼らなくてもその場で現金の捻出が可能です。

ただし電子マネーのチャージ残高を銀行口座へ入金するには、条件として事前の本人確認登録が済んでいる必要があります。

電子マネー	条件	対応ATM	スマホATM取引
PayPay	本人確認の登録	銀行ATM コンビニATMなど	◯
LINE Pay	本人確認の登録	セブン銀行ATMのみ	◯
楽天ペイ	本人確認の登録	銀行ATM コンビニATMなど	×
d払い	ドコモ回線の契約 本人確認の登録	セブン銀行ATMのみ（他銀行は出金までに1〜2営業日）	◯
au Pay	auじぶん銀行口座の開設	セブン銀行 ローソン銀行 イーネット 三菱UFJ銀行 ゆうちょ銀行	◯

本人確認登録が済んでいる電子マネーであれば、銀行口座へ即時の振り込みが可能なため、公衆接遇弁償費を利用できない場合はスマホを確認しましょう。

スマホATM取引に対応している電子マネーであれば、キャッシュカードがなくてもスマホだけでATMを操作できます。

電子マネーを利用していない人でも、SuicaやICOCAなど交通系電子マネーを所持していれば払い戻すことで現金が手に入ります。

交通系ICカードがある人は残高がなくてもデポジットで500円が手に入る

SuicaやPASMOといった交通系ICカードは、初回購入時にデポジットを支払っているため、チャージ残高がなくても解約するだけで500円がその場で手に入ります。

デポジットとは保証金や預かり金のことであり、以下のようにほとんどの交通系ICカードが駅の窓口で払い戻しが可能です。

交通系ICカード	最低払戻額	本人確認書類	窓口対応	払い戻し場所
Suica	500円	必要	◯	Suicaエリアの窓口
PASMO	500円	必要	◯	PASMOエリアの窓口
Kitaca	500円	必要	◯	Kitacaエリアの窓口
ICOCA	500円	必要	◯	ICOCAエリアの窓口
SUGOCA	500円	必要	◯	SUGOCAエリアの窓口
TOICA	500円	必要	◯	TOICAエリアの窓口
manaca	500円	必要	◯	manacaエリアの窓口
CI-CA	500円	必要	◯	CI-CAエリアの窓口
PiTaPa	4〜20万円	不要	×	引落口座

払い戻しの手続きには本人確認書類が必要なものの、交通系ICカードを所持していれば、公衆接遇弁償費を利用しなくても帰りの交通費を捻出できるかもしれません。

他にもバッグや時計などの所持品を質屋に預けることで、帰りの交通費を捻出できるケースがあります。

バッグや時計など身につけている物を質屋に預けるとお金を借りられる

公衆接遇弁償費を利用できない人でも、バッグや時計などを身につけている場合は、質屋に預けることでお金を借りられます。

質屋は物品を担保にした貸金業を生業としており、質屋営業法に準拠した質預かりサービスによる貸し付けが認められているからです。

「質屋営業」とは、物品を質に取り、流質期限までに当該質物で担保される債権の弁済を受けないときは、当該質物をもつてその弁済に充てる約款を附して、金銭を貸し付ける営業をいう。

引用元：質屋営業法-衆議院

質預かりサービスは利息が発生するものの、物品の査定額までお金を借りられ、1〜3ヶ月以内に返済すれば預けた物品を返してもらえます。

例えば借り入れ金額が1万円で利息が月利8.0％の場合は、当月中に1万800円を質屋へ支払えば、大切にしているバッグや時計を取り戻すことが可能です。

バッグや時計を身に付けていない人でも、ネクタイやベルトといった安価な日用品を質屋に預ければ、帰りの交通費ぐらいは捻出できる可能性があります。

近くに質屋がない場合でも、コンビニがあればカードローンアプリによって交通費を捻出できます。

カードローンアプリならスマホがあればコンビニATMで現金を受け取れる

大手消費者金融はカードローンアプリを提供しており、審査に通ればスマホだけでコンビニATMを利用してお金を借りられます。

カードローンアプリ	セブン銀行ATM	ローソン銀行ATM
アイフルの公式アプリ	◯	◯
プロミスのアプリローン	◯	◯
アコムのmyac	◯	×
SMBCモビットの公式スマホアプリ	◯	◯
レイクのレイクアプリ	◯	×

カードローンアプリとコンビニATMを利用してお金を借りる流れは、以下のとおりです。

本人確認書類はスマホで撮影して送信するだけで提出でき、申し込みが終わると最短30分ほどで審査結果がわかります。

最短30分ほどで審査を完了させるためには、アプリをインストールする前にWeb申し込みが必須になりますので覚えておきましょう。

いずれのアプリもスマホATM取引に対応しているため、ローンカードがなくてもコンビニATMを操作できます。

スマホATM取引の操作方法は、カードローンアプリを立ち上げてATMに表示されているQRコードを読み取るだけです。

取引画面が表示されたら限度額まで現金で借りられるため、最寄りの電車やタクシーを利用すれば帰宅できます。

しかしスマホを所持していなかったり審査に落ちたりすると、カードローンアプリによる借り入れはできず、公衆接遇弁償費を検討せざるを得ません。

最後に、交番や警察署でお金を借りる公衆接遇弁償費に関するよくある質問をまとめましたので、参考にしてください。

交番ではいくらまでお金を貸してもらえる？

基本的に1人あたり最大1,000円までお金を借りられます。

ただし障害を抱えていたり小さな子供が一緒にいたりといったやむを得ない事情があり、警察官を経由して所属長の承認を得られた場合は、1,000円以上を借りられるケースもあります。

公衆接遇弁償費の利息はいくらになりますか？

緊急時に利用する制度なので、原則として利息は発生しません。

督促もないので返済しない人が増えていますが、貸付金を回収できないことによって公衆接遇弁償費の予算が削減されて廃止される可能性もありますので、必ず返しましょう。

交番に誰もいない時はどうやってお金を借りるの？

交番内の卓上掲示板に記載されている番号へ電話連絡して要件を伝えましょう。

パトロール中の警察官に繋がり、要件を効いたうえでどうするべきか案内してもらえます。

緊急時で急いでいる場合は、卓上掲示板に記載されている番号ではなく、110番へ連絡したほうが速やかに対応してもらえます。

警察からお金を借りる条件は？

財布の盗難や紛失、行方不明者の救護といったやむを得ない事情があることです。

その他にも現場の警察官が緊急時であると判断した場合は、お金を借りられるケースがあります。

ただし、ギャンブルや買い物などでお金がなくなった場合は自己責任と判断され、お金を借りられませんので気をつけましょう。

財布を忘れたときは警察からお金を借りられますか？

残念ながら公衆接遇弁償費でお金を借りられないケースがほとんどです。

財布を忘れた人は自宅へ取りに帰ったり親や友達に連絡して迎えにきてもらったりできる可能性が高いため、借り入れを断られます。

ただしやむを得ない事情がある場合は、警察官の判断でお金を貸してもらえるケースがあるので、相談しましょう。

交番でお金を借りられる都道府県はどこですか？

47都道府県のうち、北海道や千葉県といった全14箇所で公衆接遇弁償費が設けられています。

北海道、岩手県、宮城県、群馬県、千葉県、東京都、山梨県、石川県、京都府、大阪府、鳥取県、山口県、愛媛県にある警察署または交番で利用できます。

パトカーや運転免許試験場といった警察が管轄する施設でも、対応してもらえるケースがあります。

警察からお金を借りた後に返さないとどうなる？

悪質な場合は刑法における詐欺罪で逮捕される可能性があります。

例えば返さないつもりでお金を借りたり緊急事態であることを偽って公衆接遇弁償費を利用したりすると、人を欺いて財物を交付させたことになり、10年以下の懲役が課せられます。